東京高等裁判所 昭和24年(新を)1369号 判決 1949年11月18日
被告人
金熙俊
外一名
主文
本件各控訴は孰れも之を棄却する。
理由
前略
控訴の趣旨第一点に対する判断
案ずるに刑法第一條第一項に依れば「本法は何人を問はず日本國内に於て罪を犯した者に之を適用す」と規定して居るので仮令聯合國人であつても日本國内に於て罪を犯した場合は右規定に依り刑法の適用を受くべきものであるか只聯合國占領軍の占領目的に有害な行爲に対する処罰等に関する勅令(昭和二十一年勅令第三百十一号)第一條第一号に依り之に対して公訴を行はないに過ぎないのである。從て中華民國人たる原判示何鶴盛の本件酒税法違反の犯行を幇助した被告人両名の所爲に対し公訴を提起し之に刑罰権を行使し得ることは勿論である。原判決には法令の適用を誤つた違法は存しない。論旨は理由かない。
以下省略